赤い流れ星3

side 和彦

(え……)



目が覚めた時の状況に、俺は一瞬固まった。



見知らぬここは、おそらくはホテルだ。
ベッドにいたのは、俺だけじゃない。
俺の横には、女性がいた。野々村さんだ。
彼女も俺も何も着ていない。



(どうしよう!?)



俺はすっかりパニックになっていた。
この状況から考えれば、何があったかは簡単にわかる。



昨夜はとにかく楽しくて、俺はバーで酒をしこたま飲んだ。
そして、その後の記憶は全く無い。



(なんてことを…!)



自分自身に猛烈に腹が立った。
野々村さんには、偽りの恋人役を頼んだだけだったのに、こんなことをしてしまうなんて…



(あ……)



俺がこんなに取り乱している理由に、俺はたどり着いてしまった。



そう、俺は恐れているんだ。
野々村さんに嫌われることを。



こんなことをしてしまったんだ。
もう、会ってもらえないかもしれない。
仕事さえ断られてしまうかも。
そう思ったら、絶望的な気持ちになってしまった。



その時、野々村さんが動いた。
俺は咄嗟に目をつぶった。



野々村さんは起き上がり、服を着ているようだ。
俺はその気配を感じながら、狸寝入りを続けた。



やがて、野々村さんは服を身に付け、部屋を出て行った。
どういうつもりだ?
野々村さんの気持ちがわからない。
俺は頭を抱え、悔やむしか無かった。


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