赤い流れ星3




「そういうことだから、美幸ちゃんにも伝えといてくれ。」

「わかった。あいつはいつも暇だから、大丈夫だろう。
店はどうする?」

「カズに任せて良いか?
カズさんは特に好き嫌いはないから、何料理でも大丈夫だと思う。」

「そうか、じゃあ、適当な店を予約しとくよ。」

「頼むよ。それと……」

「なんだ?」

「いや、なんでもない。
じゃあ、よろしくな。」



美幸が俺の事を本当に好きだと言ったのかどうか、気にはなったが、どうにも訊き辛い。
時間があって、酒でも飲んでる時にまた訊こう。



時間はに早々と進み、いつの間にかカズさんが帰る前日になっていた。
楽しい時間は本当にあっという間だ。
今日は、カズが予約してくれたフレンチの店で食事をする。



俺達が着いた時、すでにカズと美幸はテーブルに着いていた。
美幸の顔を見ると、ついついあのことを思い出す。
俺はなんともないふりをして、カズの前の席に腰を下ろした。



「待たせたな。」

「俺達もついさっき来たばかりなんだ。」

「そうか…」

「美幸ちゃん、今日はわざわざ来てくれてありがとうね。」

「い、いえ……」

美幸は相変わらずおどおどしている。
いつまで経っても慣れない奴だ。
こんな奴が、カズに俺の事を好きだなんて言うはずがない。
俺はそう確信した。
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