赤い流れ星3
side 和彦




(やっぱり、か……)



野々村さんからの返信は、次の日の朝にようやく届いた。
いつもと変わらない文面…
俺の書いた内容に対して、気になる所や詳しく知りたいことが書かれ、そして、最後には感想のようなものが書いてある。
ただ…その後に書いてあったのは、明らかに嘘……



野々村さんのメールには、昨夜は遅くまで美幸とメールのやりとりをしていて、それでついつい遅い時間になってしまって、俺に返信出来なかったと書かれていた。
美幸は返信が早いから自分も負けないように早く返信しようと思うのだが、やはり携帯ではそれほど早くは打てないとか、そうはいっても、美幸とメールをするようになってから携帯での文字打ちは早くなったとか…そんなことも書かれていた。



昨夜、野々村さんの携帯は電源が入っていない状態にあった。
電源をいれずにメールが出来るはずがない。
つまり、美幸とメールをしていたというのは嘘だ。
携帯の電源はあえて切られていた。

なのに、そんな嘘を吐くのは…美幸にまで嘘を吐かせるのは…
そんなことをしてでも、俺に隠したいことがあるから。



野々村さんはおそらく、昨夜は家にはいなかった。
どこに行っていたかはわかるはずもないが…きっと、野々村さんは一人ではない…
……大河内さんと一緒だったんだろう。



だけど、なぜそんなことを俺に隠す?
二人共、独身なんだ、何をしようと勝手じゃないか。

……そうか、大河内さんが野々村さんに口止めをしたのか…
二人のことをまだ話すなと…



あの老人なら言いそうなことだ…



(くだらないメールで二人の邪魔をしてしまったな……)



もしかしたら、俺のメールを二人で見て、ホームシックだなんて女々しい奴だと笑ってたか…



そんな事を考えると、俺は、衝動的に野々村さんからのメールを削除していた。



「マイケル、今日はデートなんだろ?
俺にも誰か紹介してくれないか?」

「えっ!?カズが女の子を紹介してほしいだなんて、珍しいね。
いつもはカズのこと紹介してほしいっていう子がいても、取り合ってもくれないのに…」

「……おまえの見る目の方が正しいかもしれないなんて思ってな。」

「良く言うよ。
で、どんな子が良いの?」

「亜理紗みたいな面倒を起こさないなら誰でも良い。」

「誰でも…?」

俺達のやりとりを聞いていたアッシュが、驚いた表情で俺をみつめた。
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