【短編】愛して欲しい。
愛して欲しい。
KOU
黒い雲に覆われてる空を窓際から見つめ、煙草の煙をフーっと吐き出した。
一瞬、白くなった視界が、また灰色へと変わった瞬間ガチャッとドアを開く音が聞こえた。
「お前、何浸ってんの?」
片手にビール缶2本を持ったツレの水城(ミヅキ)がケラケラと笑った。
「別に浸ってなんかねーけど」
水城に向けた視線を、何となく逸らした。
「なに? 何か悩んでんの?」
「別に悩んでねーよ」
「ふーん……」
納得してない声を出す水城の手からビールを受け取ると、勝手に飲み始めてやった。