Only
急いで光のもとへ駆け寄るあたし。
「ちょっと!今何分か分かってる??」
「えっ、お前来んの早くね?」
光は少し驚いた顔をして言った。
…あなたに言われたくないんだけど。
「だって…!」
「何だよ?そんなに俺に会いたかったか?」
ニヤニヤしながら冗談っぽく言う光。
「ち…違うしっ!毎回宮本が先に来るから今日こそは…って思ったの!」
息をきらして言うあたしに、光は余裕そうな顔でふっ、と笑った。
「ばーか。待ち合わせ場所には男が先に着くもんだっつーの。ほら、行くぞ」
そう言ってあたしの空いてる方の手を引いて歩き出した。
…何なの…。
いつも先手ばっかとって。
ドキドキさせられるのはいつもあたしの方。
ムッと睨み付けると光は嫌味ったらしく口角を上げてニッと笑った。