さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~

夏休み前、苦手な数学の授業中に、つい、眠ってしまったことがあった。

辺りが騒がしくて、目を覚ました。

すると、数学の教師が、「夏休みあけに、ノートを集めるからな」と言う声が聞こえた。

何のことなのかわからなくて、後で聞こうと思っていたのだが、後回しにしているうちに忘れてしまった。

「やばっ、その時、きっと寝てたよ」

「大丈夫。今度も、私のノートを見て適当に写せばいいよ」

数学の得意な麻理には、これまでにも、しばしばお世話になっている。

「うわあ、かたじけない!」

麻理が、聖母マリアさまか、天使のように思える。

「家に来ない? よかったら、ついでに他の宿題も答え合わせもしようよ」


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