さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
潤一さんが目の前にいる。

何か言いたい。言わなくては。

「潤一さんは……」

どうしても、言えない。

涙があふれてきて、声が出ない。

でも、その様子が、どんな言葉よりも、あたしの心を伝えている。


「実可子ちゃん、実可子ちゃんは、僕の大事な妹だよ」

潤一さんの声は、優しかった。

「妹……?」

潤一さんはうなずいた。

「ありがとう。……潤一さんは、あたしの大事なお兄さんです」


これで、いい。

妹って、どんな意味ですか……そんなことを尋ねるのはよそう。

これで、いい。

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