さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
昔、重蔵の中学校で先生をしていた城之崎春子さんもやってきた。

店に入ってくるなり、

「村中くん! あなた、立派になったわね」

と、重蔵に抱きつかんばかりだ。


「城之崎先生……」

父は、30年前にタイム・スリップして、真っ赤になって照れていた。

「あなた、いつも、私の授業のじゃまをしていたわねえ。あなたのクラスは、授業にならなかった」

「うわあ……すみません」

小さくなる父。

「いいのよ、いいのよ」

意外なほど貫禄のある春子さん。



< 144 / 211 >

この作品をシェア

pagetop