さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
「菓子作りなら、オレが教えてやる」

「いや、学校ならいろいろと……」

「学校ならいろいろと、どうなんだ?」

実はあたしも、よくわかっていない。

専門学校に行けば、父に習うよりも新しい技術を学べるはず、とは思うけれども。

父は、茶碗も箸もちゃぶ台に置いた。

そして、あたしの顔をのぞき込むようにじっと見つめた。

「実可子、夏休み前に、貯金を下ろさせたな」

「うん、20万、貸したよね」

「あの金を返す」

「もういいの?」

「もういい」

「いつでもいいよ」


< 176 / 211 >

この作品をシェア

pagetop