理想の都世知歩さんは、

あとがき




初めまして。
鳴神ハルコと申します。

徹夜明けがおかしなことを言っていたら瞼を閉じてやってください。

とよちほは当初、長期連載をしていた作品が完結を迎えまして、その時に「ルームシェアものが書きたい…スーツアクターか…」という感じで始まりました。変わった苗字。

「ここでは一人で泣かせない」
「ヒーローがヒーローでいられない」を念頭に。

難しかったのは物語の大半を占めたかと思われる“宵一の片想い”です。

お付き合いではなく片想い。
少しでも身近に、リアルに感じていただくにはどうしたらいいかと時間を有しました。設定が設定なので…。

「好きなひとには、好きなひとがいました」
から始まるそれぞれの行方を見守っていただけていたら嬉しいです。

誰も悪くないのに、誰かが傷付く。誰かが守る。

書き終えてみると、やはり書いてよかったなと思います。

作風的に切ないと言っていただくことが少ないので拝見したときはどっきどきでした。
他面子の恋愛も纏まりつつあるのでいつか。番外編含め!


***あじさいめも

花より人は臆病だと思って。

衵の頬に触れる律は人。触れなかった宵一は花。菜々美も花。
衵と、速水は人です。

律は衵を人として、近いものとして映す。

衵は綺麗な花に焦がれて手を伸ばしたい。

宵一は花だから菜々美に手を伸ばすことはできず、ただ見つめるだけ。傍にいるだけ。

菜々美は人になりたいと見上げる。でも、自分が手を伸ばすことはできない。触れるためには人が指先を差し出すしかない関係。

人より花は臆病じゃないけれど、強いわけじゃない。



「衵のヒーローは都世地歩です」から始まった物語が、「都世地歩のヒーローは衵でした」でふたたび恋に落ちればいいなと思います。



彼らの片想いに寄り添ってくださった読者様へ、心より感謝申し上げます。
ありがとうございます。

都世地歩の在る日常にラストが見えない鳴神ハルコ(15/2/5 雪)



***(答え合わせのヒント)

「――…な、…みさ」

始めの方で鍵となった宵一の寝言。
けど宵一は菜々美をさん付けでは呼びません。
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