翼のない天狗



 どうか私を縛らないで下さい。

 どうして私は人魚という半端な生き物に生まれたのでしょう。もっと自由に生きたいのです。劣る頭脳で良いのです。刹那を精一杯生きる、小さな魚になりたいのです。あなたにはわからない。誰も私の苦しみをわからないのです。

 誰も。














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