透明ニンゲンと秘密のレンアイ



「つかまぁ、たまには役にたつだろ? オレのチャラさも」



 私が心臓のうるささと格闘していると、ヘンタイが得意げに言った。


 腹立つヤツだな……。


 私はヘンタイをジロッと睨んでから、癪だったけど、素直に頷いてやった。



「まあ、今回だけは……」



 正直、あの流哉の情けない顔は、見ててスッキリしたし。


 もう、コイツをヘンタイって呼ぶの止めようかな。


 まあ心の中でしか呼んでないけどさ。


 これからは杉下君と呼ぼう。そうしよう。



「ありがとう。杉下君」



 私にしては珍しく笑顔を見せて、お礼を言った。



 いやぁ~、私って偉いわぁ。



「な……っ!」



 私が自画自賛をしていると、ヘンタイ改め杉下君は顔を少し赤くしていた。


 どうしたんだろ。



「どうしたの?」



 私が首を傾げると、杉下君は更にうろたえた様子で



「それは……反則じゃね?」



 と呟いた。



 反則……?



「意味分かんないんだけど。反則って何がー?」



「いや、いいよ。若桜ちゃんって天然だな」



「へっ!?」



 私が天然!?



 一体何があったら私がそう見えるんだろ…。



「杉下君、人を見る目がないんじゃない?」


「お前は自覚がなさすぎだ」



 いや、だから意味分かんないってば。


 私が再び首を傾げると



「それは、オレに襲ってほしいっていう合図か?」


「んな……っ!」



 杉下君が怪しく笑うから、つい私はテンパって変な声が出てしまった。



「そんな訳ないでしょ! あーもう、やっぱアンタって頭おかしい!」



 呼び名を杉下君からヘンタイに格下げしてやる!



「ははっ、若桜ちゃん、やっぱ可愛いわ」



「……っ!」



 そんなカッコよすぎる笑顔でそんな事言うからほら



 また私の心臓が騒ぎ出したじゃないか。




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