透明ニンゲンと秘密のレンアイ
「触んないでよね。ヘンタイチャラ男さん」


「ヘンタイチャラ男さんじゃなくて、杉下直流です」



 私のマネしやがった!

 ムカつくヤツ!



「はいはい何ですか杉下君?」



「お前さ、皆に俺が透明になって覗きするようなヘンタイって、バラすなよ?」



 はあぁ?



 真剣な顔で何を言っとるんじゃコイツは。



 ヘンタイってバラされたくないってか?


 んなメンドくさい事しないし。


 ……いや、待てよ。
 バラしたら面白そうだな。


 女子に幻滅されて涙目になるヘンタイ……。


 いいかも。


「む。何企んでんだ?」



 私が悪い顔をしていたのか、ヘンタイに怪しまれた。


「べっつに~」


「怪しい」



 ヘンタイが益々怪しんで、私に顔を近づけてきた。


「頼むからバラすなよ? オレは高校でも、色んな女の子とイチャイチャしたいんだよ」


 縋るように言ってきたヘンタイを睨む。


 コイツ、ホント最低っ!



 女の子を何だと思ってんのよ! アンタの遊び道具じゃないんだからね!


 絶対バラしてやる!



「むぅ……絶対バラすって顔してんな」



 あれ、また顔に出てたかな。


「んじゃあ、若桜ちゃんが黙っててくれたら、何かしてやるよ」



 むむ。
 取り引きを持ちかけてきやがったぞ。



 ていうか「若桜ちゃん」って呼んでいいなんて、言ってないんだけど。



 まあいっか。


 コイツの取り引きのが気になるし。



「……何してくれるの?」


「若桜ちゃんが望む事」



 私が望む事って……。



「私の望みなら、何でも聞いてくれるの?」


「ああ。黙っててくれたらな」


 むぅ……。

 それなら黙ってやっててもいいかも。



「分かった。じゃあ黙ってるから、放課後、たこ焼きおごってよね」


「えっ? あ、ああ。……以外と単純だな」



 ちょっとー。


 聞こえてますよー。


 私はジロっと睨むと、ヘンタイは慌てて目を逸らしたのだった……。



 放課後。




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