透明ニンゲンと秘密のレンアイ
「……は、早くたこ焼き食べに行こう」



 私は恥ずかしくなって、勢いよく振り返って先を歩いた。


 ヘンタイが、当然のように横に並んでついてくる。


 きっと、女の子と並んで歩いたことなんて、このヘンタイは数知れなくあるんだろうな。


 ヘンタイの横顔を見ながら考える。


 ヘンタイの整った顔を、夕焼けが赤く照らして、一層カッコよく見える。



 て、なに考えてんだか。

 こんなヘンタイに……。



 そんな事を考えてるうちに、あっという間にたこ焼き屋さんに着いた。



「ここのたこ焼き、美味しいんだよ!」


「たこ焼き好きなの」


「うん!」



 特技はたこ焼き1パックを、一気食いする事だからね!


 店の列に二人で並ぶ。



「ふぅん。何か意外だな。若桜ちゃんって、大人しいイメージがあったからさ」


 むむ。

 私のイメージって、大人しかったんだ。


 確かに、外見的には。


 地毛の焦げ茶ストレートを胸下まで伸ばし、ハーフアップをしている。


 大人しく見えても無理はない。



「けど、接してみたら結構毒舌だし、たこ焼き好きだし」



 ん? たこ焼きは関係あるのか?


 私がそんな事を考えていると、不意にヘンタイが笑って……


「何か、もっと知りたいな。若桜ちゃんの事」



――ドキンッ!



 そんな事言われたら……。



 私だって、君に興味を持っちゃうじゃんか。



「わ……たしも、ちょっと、知りたいな」




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