《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼

職種は表向き『イケない保健室の先生』だが、裏では副業もしている朱祢。

鸞からの仕事の以来は、大抵が副業の仕事である。


「……」


正直、疲れた。

保健室の先生という職業も暇なわけではない。
今日は特に病院に運ばれた生徒がいたから、保険の適用書などを書いていたら遅くなった。

嫌だ、めんどくさいと結論を出し、無視することに決めた朱祢。

「もしもぉーし、だありん?」

電話を入れたのは旦那。

「今終わったから迎えにこい」

命令口調に夫婦の主従関係が一瞬でわかる。
だありんなんて呼んでるが、尻に引きまくってるのだろう。きっと。


『もしもし!?朱祢か?』


が。
電話から聞こえてきたのは女の声。

「……ぁ」

『何わらわの電話を無視してるのじゃぁあああ!』

古風な喋り方に、いきなりぶちギレてる彼女は、鸞である。

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