裏ヤン先生に愛されます

先生、辛いんだよね



「その時ってまさか…」

「うん、彼女が死んだ日だ」

虎安クンはゆっくりと話し始めた。

あたしはただ、呆然と聞いているだけだった。

「アイツはホンキで彼女を愛していたんだ。
他のヤツなんて、気にしないくらいに。

幼馴染か知らないけど、彼女と付き合い始めるまで、
ずっと心配げに見ているだけだった。

だけど2人が付き合ってからは、
自分が傍にいなきゃって言い始めたんだ」

「…そうなんだ」

「それくらい、アイツにとって好きだったんだ」

「でも彼女は生きてるよ、虎安クン」

そういうと、彼の表情が一変と変わる。

口を半開きにして、嘘だと言いたげだった。

あたしは首を横にふった。

「センセーの許嫁は、記憶喪失の彼女さんなんだ」

「…嘘だ。アイツは…」

「かろうじて生きていたけど、センセーも記憶喪失なのが辛くて。

皆には死んだことにしているみたい」

「…桜尾…」

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