裏ヤン先生に愛されます


「少しだけ、過去のこと聞いてもええ?」

奏平が少しだけ、俯いた。

ずっと何かを聞きたかったように。

あたしが静かに「何?」って聞くと。

「…どして、いじめられてたん?」

その言葉に、昔の思い出が少しずつ思い出してきた。

「…それはね…」

(…それは奏平。あたしが悪いんだ)

きゅっと口元を引き締めた。

少しだけ、手が震えたけど。

そしたら、奏平が握ってくれた。

「無理させて、ごめんな?でもずっと気になっててん」

あの時、助けれなくてごめん。そう謝った奏平だけど、それにどれだけ救われていたか。

傍にいただけで、幸せなんだよ。

「あたしが、安易に喋ったから」

「…え?」

奏平、あたしはあの時荒れてたんだよ。誰にだって、心苦しいときはあったんだよ。

< 139 / 212 >

この作品をシェア

pagetop