僕のイケナイ先生(→『信じられない彼女ー僕のイケナイ先生』から改題)
用務員さんから、鍵の束を
借りてきてよかった。

図書館で眠る卒業ビデオ。

ふと思い立って、高校のビデオ
も観ることにした。

平成11年立星学園高等学校と
書かれたビデオを捜しに書架に
戻った。

卒業式の前に何かが起きたの
かもしれない。

高等学校ではどうだろう。

棚からすぐにビデオが見つかっ
た。

目当てのビデオを一本だけ取り
出して、鍵をかけてガラス戸を
閉めると。

図書館カウンターに戻って、
貸し出しカードにタイトルと
氏名を記入する。

カード入れにそっと置いて。

『これを借りて、家で見てみよ
う。

こちらには何事もなさそうだけ
れど

念のために』

高梨君という少年と巡り会えた
ような気がした。

この少年が鍵を握っている。

一つ謎が解けて嬉しくなり
心なしか家に帰る足取りも
軽い玲緒奈だった。








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