欲しがり屋のサーチュイン
何がしたいのかよくわからない。


ーーだって欲しかったのよ。



ーー欲しいと思ったものを手に入れようとして、何が悪いの。




いっそ神々しさすら放つ彼女の言い分に、千晶(ちあき)はその時何故か何も言い返す事が出来なかった。

ただただオドオドして終わってしまったように思う。

突然過ぎて、困惑していたのもあっただろう。


でも、今なら言える。




「いや、でもさ、せめて順序は守ろうよ。」


ザァーーーと食器の泡を落としながら、千晶はハッと我に返り口をつぐんだ。


…いけない。


ボーッとしているときに、ふと過去へトリップするのは悪い癖だ。

ふるふると頭を振るって意識を戻す。

ここは、会社。

仕事をするところ。…よし。

キュッと蛇口を強めに閉め、手を拭いた。
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