1%のキセキ




……ピンポーン、ピンポーン。

部屋に鳴り響くインターホンの音で目が覚める。
ちらっと時計を見ると、まだ10時だった。

…せっかくの休日位、誰かに起こされることなく自然に目覚めたかったのに。


訪問販売か、新聞の勧誘か、国営放送からの徴収か。

誰だか知らないが、人の貴重な休日の安息をぶち壊す輩はどこのどいつだ。
と、腹を立たせながらも布団から出ようとはしない。

居留守を使えばさっさと帰るだろう、と心地良い眠気に誘われるまま再度重い瞼を閉じた。



ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。


しかし、止まることのない電子音。

さすがにイラっとしてうっすら目を開ける。
……こんなにしつこく慣らさなくてもいいだろ。

さっさと追い返そうと、インターホンの受話器を乱暴に取ると無愛想に返事をした。


「……はい?」

『ちょっとー、いつまで寝てんのよ』

「……は?」

聞き覚えのある声と口調に、まさかとモニターを見るとそこには母親と西川家の皆様が勢揃いでエントランスに来ていた。
思わず、唖然として言葉を失う。


『さっさと開けなさいよー』

そう催促する母親の声に我に返ると、釈然としないまま急いで身支度を整え母親と西川家御一行様を家へ招き入れた。


忙しくて滞っていた家事、とりあえずソファーの上に散乱していた着た服達を洗濯機にぶっこみ、リビングのいっぱいになったゴミ箱を捨ててから、家族に入ってもらった。

逆に忙しくて寝にだけ帰ってた家なもんだから、そこまで散らかってなくて良かった。




「きゃー、宗祐君のお部屋っ」

「真結、こらお行儀悪いわよ」


入るなりきょろきょろ嬉しそうにはしゃぐ妹の真結ちゃんに、佐智子さんが注意する。

飲み物を出そうとキッチンへ向かった母親に、西川家の皆さんに気付かれないようすかさず詰め寄った。


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