1%のキセキ



しかし、彼はそんな予想を裏切らなかった。


「先生、次の処方お願いしまーす」

看護師からの催促、そんなのはしょっちゅうだった。


「今日金曜だったか、ごめんごめん。今入れるよ」


部長?

聞いて呆れる。

私は東京のいい大学病院から来てエリート気取ってた。というか生温いこの環境にイラついていた。そして、脳外科の看護師に悪態をついた。


「ねぇ、自分達で少しは画像見た?」

「い、いいえ」

「所見だけ聞ければいいやって?ちょっとは、見てから来てくれる?」

特に病態生理も考えようともせず、日々の業務をこなせばいいやと思っている看護師は大嫌いだった。そんな私は周りから完全に孤立し、浮いていた。

今ではそんな堅苦しく厳しい女医というより、軽い姉ちゃん位の扱いになったが。来た頃は、大学との落差についていけず、自分の理想を押し付けようとしていた。

そんな私に高城先生が見かねて言った。

「君の言うことも分かるんだけど、もっと協調性を持って働かないと」

「先生はもうちょっと気を引き締めて仕事をしたらどうですか?皆川さんの明日分の点滴まだ出てませんでしたよ?」

「ははは、厳しいなー」


今となってはよく同僚に酒のネタにされるけど。私も若かったから、色々痛かった。若気の至りとはまさにこのこと。


そしてそんな私に天罰が下ることとなる。


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