*続*先生、甘い診察してください





診察台が倒されて、口元がライトで照らされた。



「痛くて、我慢できなくなったら左手上げてね」

「……」

「手上げたら、絶対に止めるね。約束する」




口を開けるよう促され、ゆっくり口を開いた。


もちろん目は閉じた。




嫌な音を立てて歯が削られ始めた。


1番奥歯で、器具が奥に突っ込まれてるもんだから少し苦しい。



智也さんは頻繁に「痛くない?」「大丈夫?」と声をかけてくれた。




振動だけで、特に痛みもなく少し安堵した。



何となくゆっくり目を開けてみると、すぐ目の前に智也さんの顔があった。

真剣に口の中を覗き込んでて、慌てて目を閉じた。




口の中、覗き込み過ぎ……。




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