薫子さんと主任の恋愛事情

「前も眉間の皺のこと言いましたよね? そんなことばかり言ってると、嫌いになりますよ?」

「嫌いに? それは困るなぁ」

なんて言いながらも全然困っているように見えない大登さんに、この人には何を言っても勝てないと項垂れた。

それからしばらくして大登さんはコンビニの駐車場に車を停めると、「ちょっと待ってて」とひとりで車を降りた。

「ビールでも買うのかな」

車の中からコンビニの中の様子を窺うも、雑誌の棚に阻まれてよく見えない。エンジンが掛かっているから車から降りるわけにもいかず落ち着かないまま待っていると、ビニール袋を手にした大登さんが自動扉から出てきた。

「悪い、待たせた。はい、これ」

大登さんから渡されたのは、大好きな炭酸水。ほんのり甘くて爽やかなレモンの酸味にハマッている。

「ありがとうございます!」

「笑顔が戻って何より」

お気に入りの炭酸水を買ってきてくれただけで機嫌が治ってしまう私もどうかと思うけれど、ちゃんと私のことも気にかけてくれることが嬉しい。



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