姫は冷血王子の所有物



「おい、何してる?帰らないのか?」










「へ?あ、はい。すみません‥‥。」










少し先に部長は歩き出していて、慌てて後を追う。










それから、部長と他愛もない話をして、家に着いた。










「‥‥今日はありがとうございました。」










「ん。これからは気をつけろよ。」










「はい‥‥。」










「まぁこれからなんか困ったら俺に言え。」










「‥‥どうしてそんなに気にかけてくださるんですか?」










素直にお礼を言えばいいのに、部長の言葉に反応してしまう。










自分でもなんでこんなことが気になるのかわからない。










「気にかけたら悪いのか?」











「‥‥いえ、ありがとうございます。」










平然とそんなことを言ってしまう部長に、内心胸が躍る。










こんなことは初めてだ。










それでも、まだ私はこの不整脈の原因を知らない。


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