これが私の王子様
プロローグ

 少女にとって今日という日は、緊張の一日といっていい。

 父親の仕事の関係で住み慣れた土地を離れ、新しい土地へ父と母と三人で引っ越してきた。

 そして今日、新しい学校へ登校する日。

 以前少女が通っていた学校の倍の大きさを誇るこの学校は、勿論それに比例して生徒数も多い。

 それに田舎からの引っ越しだったので都会の雰囲気に馴染めるか心配で、尚且つこれから通おうとしている高校は、進学校とまではいかないがそれ相応のレベルの生徒が集まっていることで有名だった。

 授業についていけるか――

 その不安は勿論であったが、それ以上に友人ができるか心配だった。

 そもそも少女は大人しく、以前の学校でも友人は数える程度。そのような性格の持ち主が、倍以上の生徒が集まる学校で生活しないといけない。

(大丈夫)

 と言い聞かせるが、鼓動は早まったまま。

 脚を止め何気なくショーウィンドーに映る姿を眺めれば、数日前と違う自分が目の前にいた。
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