これが私の王子様
第五章 波乱

 案の定、噂が学校でも広がっていた。

 そして例の話で、朝から騒がしい。

 その話を遠巻きで聞いていた薫と直樹は、隣で気まずい表情を浮かべている和人に尋ねる。

「ああ」

「やっぱり」

「お前の家の車、目立つからな」

「一応、駐車場に止めていた」

「といっても、目立つ」

 薫の意見に、直樹は同調するように頷く。

 そもそも庶民の味方のスーパーに高級車が乗りつけたら、嫌でも目立ってしまう。

 寧ろ目立たない方がおかしく、注目を浴びても文句を言えない。

 そう薫は説明をし、注意を促す。

「で、それより……」

「何?」

「料理は、どうだったんだ」

「美味かったよ」

「そんなに?」
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