これが私の王子様

 和人は俗に言う「痩せの大食い」の体質なので、テーブルに並べられている料理はざっと三人前。

 ハナも孫の体質を知っているので、態と大目に作るのだが、いつも和人は完食してしまう。

 美味しい料理の数々に、和人の手は止まらない。

 流石大食いというべきか、あっという間に皿に載せられた料理が、和人の胃袋に消えていく。

 最後けんちん汁の汁を一気に飲み干すと、大きく息を吐き出し、満足そうな表情を浮かべる。

「ごちそうさま」

「お粗末様」

「婆ちゃんの料理は、最高だよ」

「有難う」

 そう言いつつ、これまた慣れた手付きで食器を片付けていく。

 その間、和人は冷蔵庫から取り出した2リットル入りのペットボトルを飲みつつ、テレビを観る。

 20分後――

 洗濯と掃除、そして料理と片付けを終えたハナは、割烹着と手拭いを大き目の巾着袋に仕舞う。
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