晴れの空で






田口大和(タグチヤマト)





顔は知らない

どんな人かはお兄ちゃんからよく聞かされてた


正義感あふれる勇敢な刑事


…とまぁよくある刑事の紹介に似た言い方だった


でも、聞く度にそんな人がいるんだって思ってたのは事実


けどお兄ちゃんが殺されて

仲間が殺されて

5年もたってるのに

なんで行動しないのか















「なあ、梓」


「なに」


「梓って髪おろした方がすんごく可愛く見えると思う」


「は?」


「あ、いや、今が可愛くないって言ってるわけじゃないんだぜ?ただほら、結んでるのも綺麗だけどおろしてる方も見てみたいなー…って」


「あんたに言われる筋合いなんかないし、それに…」


「それに?」


「梓って気安く呼ばないで」


「え!?なんで!?」


「え、逆になんで?」


「だってさ、俺ら同期だし、」


「同期だし?」


「同い年だし」


「同い年だし?」


「なんたって…」


「…」


「相棒だしな!!!」


「…ひとつ言っていい?」


「なに?」


「……私は…あんたのこと同期だとは思ってるけど一回も、一秒たりともあんたのこと相棒だとはおもったことないから!!」


「じゃあ、梓にとって俺は何?」


「は?」


「まあさ、まだ捜査一課にきて半年だけどさ、俺とはいつも一緒に行動して捜査もしてるわけじゃん?だからどうなのかなーって!!」


「ただの同期。」


「…まじかよーーーーー!!!」


「実際、いつも一人で行動してるのにあんたがくっついてきてるだけでしょ。」


「あ…バレてた?アハハー!!こんなに早くバレるとは…お前、手ごわいな!!」


「何言ってんのかさっぱりわからないから。」




あー、もう。こんな奴の親にお兄ちゃん殺されたんだ…

腹が立ちすぎておかしくなりそう。



「そういやさ、梓」


こんなにいわれてもくっついてくるこいつの心ってのはどうなってるんだろ。

ぁ、そっか。こいつの心はガラスのハートならぬ鉄のハートなのかもね。


「おいー、無視すんなって!!」


「うるさい、猿」


「え、猿?!ま、まあそれは置いといて…」


置いとくなよ!!
…とまあ反論したくなったけど我慢。



「田口刑事ってしってる?」



「ッ?!」


「あ、しってんの?!なら話は早いな!!」


「その人がどうしたの?」


「実はさ、この間梓って知ってる?って聞かれたんだよね」


「え?!ほんとに??」


「おう!んで、知らないって言っといた!!」


「…はあ?!」


「え、なんかダメだった?」


「ダメも何も…!!!なんで知らないなんて言ったのよ!!!!このバカ、アホ、クズ、ボンボン、猿!!!」


「ボンボン、猿…??」


「あー、もう!!!あんたってほんとになんでこう、馬鹿なの?!」


「俺は昔言われたこと守っただけだし!!」


「何を守ったっていうのよ…言いなさいよ!!」



「知らない人に勝手に人の個人情報を教えるなって。」




…馬鹿だ。

こいつ馬鹿だ。


なんでこうも馬鹿なの?



「あのさ、田口刑事に後で言っといて、すいません、知っています、僕のただの同期です!って!!!」


「え、ただのって…」


「わかった!?!?」


「は、はい…」




田口刑事と、会える。

これですこしでもお兄ちゃんの死の真相にたどり着けたら!!!


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