『西方城重臣・小倉主膳介という武士』
壹章・小倉主膳介
時は、室町時代・・。

西方城(にしかたじょう)という城があり、その重臣(かしん)・小倉主膳介(おぐらしゅぜんのすけ)という男がいた・・。

豪傑(ごうけつ)の主膳介と城内では呼ばていた・・。

主膳介の顔立ちは、凛として美しく、妖艶な美しさがあった・・。

人ではないような、妖(あやかし)を惹き付けるような美貌持ちの男だと、城内に住み着く妖怪達の間で噂になっていた・・


『なんとも、お美しいお方でござしょう』

女中に化けた化け猫が、小倉主膳介が渡り廊下を通る姿を遠くから眺めていた・・。

それに気がついた主膳介は、女中の顔をみて、微笑み、頭をペコリとさげた。
主膳介は、足音をたてぬように、主である殿様のいる部屋へと入っていた・・。



女中の顔は、林檎(りんご)のように赤く染まっていた・・。


女中は、周りのものに今の顔をきずかれないようにそっと、袖(そで)で顔を隠し、うつむいていた・・。
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