愛なんてない
わたしはせめて何か身に付けようと、そばに掛かっていたワンピースに手を伸ばすけど届かない。
こんな格好でもしも誰か入ってきてしまったら。
あり得ない事はない。今日初めて家に招待した人もいるのだから、間違えてドアを開かない保証はない。
ゾクッと背筋が寒くなったわたしは、精一杯指を伸ばしあと少しでワンピースに触れられる。
そう思ったのに。
唐突にドアがガチャンと開いたから、慌てて毛布を体に巻きつけ隠した。
「弥生、何してるんだ?」