愛なんてない
「何を考えてる、弥生」
お兄ちゃんが低い声音でわたしに囁いた。
「俺以外の事など、一分一秒たりとも考えるな」
「ッ……く」
声を上げてはダメ。
京に聴かれたくない、知られたくない。
ギュッと奥歯と下唇を噛んで声を抑えた。
「無駄だよ、相良はきっと咲子に堕ちるさ。咲子は昔からイケメンキラーと呼ばれた女だから、相良を見ておとなしくするはずないだろ?
もう今晩には相良とヤルかもなあ」
メニュー