愛なんてない
アパート2



どうしたものか、とわたしは襖を前に立ちすくんで悩んだ。


まさか、相良先生が持っていったの?

でも、それは意味がわからない。相良先生がわたしのカバンに何の用事があるというの。


着信音からして相手はたぶんお兄ちゃんだ。早くでないと余計に心配をされてしまう。


まさか先生の家にいるなんてバカ正直に言えないから、雨に降られて麻美の家に避難したって言い訳しよう。


その前に相良先生にカバンを取りってもらわないと、とわたしは思い切って襖越しに声をかけてみた。


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