愛なんてない
やっぱり……お兄ちゃんはわたしが離れるのが望みなのかなあ?
そう思いながらじんわりと滲んだ涙を拭うと、突然京の声が聴こえた。
「どうした? つらかったか?」
京の手がわたしの頬に触れ、それからわたしの頭をゆったりと撫でてくれた。
「くすぐったいよぉ」
わたしは急いで目元の涙を拭い、京にクスクスと笑ってみせた。
「腹、減ってないか?」
唐突に京がそんな事を言うものだから、わたしはよく分からずに素直に答えた。
「うん、ちょっぴりとね」