可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「言えてる。誰もリア充先輩みたいなひとから水原くん奪えるわきゃないのにさー」
「あんな美人でもさすがに露骨すぎてヤな感じだよね。あからさまな『わたしのものよ』アピールじゃん、あんなの」
「てか単に見せびらかしたいだけじゃない?イケメン彼氏とのラブラブっぷりをさ」
「うわー、超嫌味だよね。リア充、いい子ぶってるだけで実は超ヤな女だったりして」
左隣に座って固まってるお喋りな女子たちは言いたい放題だ。
「つかさあ、彼氏の分までお弁当作ってくるとか、超古典的」
「でも結局男って、『俺のためにしてくれた』的な王道ネタに弱いよねぇ」
「あの水原くんが、その他大勢の男と同じような手口にあっさり落ちてるなんてショックだよね」
「んーでもさあ、それってやっぱ相手があのリア先輩だったからってとこが大きいんじゃない?あたしとか律子が同じことやっても水原くん、振り向いてくれないと思うけど」
「なにそれぇー。えっこ、ひどくない?あたしもそう思うけどさあ」
背後から女子たちの大きな笑い声が上がる。
その声を聞きながら、通学途中にコンビ二で買ったサンドイッチとミルクティーの入った袋を持って立ち上がる。
今日もそっと教室を出て行こうとすると、その前に隣の席のヤツと目が合ってしまう。
------------七瀬由太だ。