ハートロッカー

*スロー*

大政が『アウト・ブルース』でバイトを始めて2週間。

彼がバイトをしている土曜日と日曜日、あたしは9時過ぎに家を出て喫茶店『柚葉』で時間を潰すようになった。

読書をしたり、学校から出された課題をやったり、スマートフォンでネットを見たり、そんな風にして大政が帰るであろう夕方まで時間を潰している。

その日は土曜日で、この日も『柚葉』でカプチーノを傾けながらブックオフから買ってきたマンガを読んでいた。

カランカランと、ベルが鳴った。

「おっ、三春じゃんか」

その声にマンガから視線を向けると、安部だった。

安部はあたしが使っているテーブル席に寄ってきた。

「何?」

あたしの声に、安部は向かい側の椅子に腰を下ろした。
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