summer!!
妄想癖GIRL
『キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。』

この音で、私、“秋月 香苗(あきづき かなえ)”の朝は始まる。
賑わう教室の中へと足を踏み入れた途端、クラス中の視線が私へ注がれ…「バかなえ!!」
…あれっ?
気を取り直して…。クラス中の…「香苗!!!」
                     
                       ……

『あぁ!!もうなにッ!?』
最高の“妄想”に浸っていたと言うのに五月蝿い女だなぁ。私の名前を呼んでいたのは、“春野 弥生(はるの やよい)”
通称“ハルやん”


私は自分の長い髪を片手で払いながら後ろを向いた。
「あのねェ。バカナエ。全部口に出てるし、アンタ髪長くないし。いったい、誰に大嘘の解説してんのよ。」
この冷め具合。よくこんなんでモテるもんだ、男子なんて皆目ェ悪いんじゃないの。 
「聞こえてるっつってんだろ?」
朝のホームルームでボソボソと紡がれるこの会話。ハルやんは、“猫被りの犬被りのヤンキー隠してます系女子”だ。ちなみに私は、“謙虚でおしとやかで…「自分の情報偽りすぎだよ。」…系女子である。

私は何かと妄想癖があり、こんな風だったら良いのになぁ、と考えながら毎日を過ごしている。こんな私を理解してくれるのは、なんだかんだハルやんだけであって。

中学生の時なんて、渾名は「妄想」「脳内変換」「解説」とまあ、散々だった。自分のビジョンを持ってはいたが、馴染めないなんてことはなく、只何で皆がそう考えないのかが不思議だった。

その点ハルやんは、こういう私の対処の仕方もしってるし実際ハルやんだって妄想癖があるんだと、私は考えているわけである。

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