KISS


「その手、離せよ。」


あたしはなぜか男の手から離れていた。


「・・・あれ?」


それどころか男が腹を押さえて横たわっている。


「大丈夫?ヒナ・・・先輩。」


「・・・緋・・・崎・・・レン・・・」


「え?いっきなりそれはないっしょ。
フルネームかよっ。」


にっこりと、白い歯を見せて笑った。


「なんで・・・ここに・・・?」


「いや。水飲みに来たらさー、
なんか襲われてる女の子居るしさー・・・

しかもその上、ヒロタカ先輩の彼女なんだもん。
びびったよ。」


「・・・知ってるんだ。」


「へ?
ああ。でもヒナ先輩かわいいからさー、
ヒロタカ先輩が付き合ってるって言う前から知ってたよ。」


「っ・・・・・・」


コイツは・・・
からかって言ってる訳じゃない。

純粋に・・・

ただ純粋に言ってるだけなんだ。


「あれ。
あの男、気づけば居なくなってるね。」


「・・・・・・うん。」



やっぱり・・・・・・

嫌いだ。

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