もっと★愛を欲しがる優しい獣

「わ、たし……」

「亜由ちゃん!?大丈夫!?」

ふらりと傾いだ身体を支えてくれたのは田中さんだった。

……だから、ご近所の人の様子がおかしかったんだ。

真相がわかると私の手はカタカタと震え、力が入らなくなった。

どうしよう。どうしよう。こんなことになるなんて!!

「あの!!弟妹達は悪くないんです!!私が軽率だったんです!!誰かに見られているなんて思わなくてっ……!!」

私のせいで家族が悪く言われてしまうのは嫌だと、田中さんに必死になって訴える。田中さんに弁解したところで、広まってしまった噂が消えるわけではないのに。

「まあまあ落ち着いてよ、亜由ちゃん」

取り乱した私を落ち着かせるように、田中さんがポンポンっと私の肩を叩く。

「噂の出所は調べてみるよ。亜由ちゃんはどっしり構えていなさい」

頼もしい一言を残すと田中さんは大きめの身体をのっしのっしと揺らしてご自宅に帰って行った。

(大丈夫、大丈夫……。何とかなる……。大丈夫……)

私はまるで呪文のように何度も心の中で大丈夫を繰り返すと、グリンピースと格闘を続けているであろう末の弟の様子を見るために家の中に戻ったのだった。

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