もっと★愛を欲しがる優しい獣
その26:チャレンジャー

部活帰りのある日のことだった。

(あれ?)

商店街の肉屋で揚げたてのコロッケを買い、火傷に注意しながらハフハフと頬張りながら歩いていると、おもちゃ屋の店頭に飾られたゲームソフトをこれでもか言うほど熱心に眺めている人物を発見した。

買い物の途中だったのか右腕に引っ掛けたエコバックからは青ネギと大根がチラリと顔を覗かせているのが、年齢よりも所帯染みていてやや残念である。

見覚えのあるピンクのエプロン姿に、思わず声を掛けてしまう。

「姉さん……?」

「え!!やだ、櫂!?」

弟に見つかりまずいとおののく我が姉のリアクションのワンパターンさといったら、漫画のようであった。

「ね……」

「お願いっ!!皆には黙ってて!!」

姉さんが叫ぶが早いか口を塞ぎにかかったものだから、俺はびっくりしてコロッケをゴクンと飲み込んでしまったのだった。

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