もっと★愛を欲しがる優しい獣

「おはよう。佐藤さん」

……間違っても“おはよう”なんて言えるような時間ではない。

「お、起きていたの!?」

「さっきまで寝ていたよ。眼鏡どこ置いたの?」

「やっぱり起きていたじゃない!!」

鈴木くんはしっと、指を唇に当てた。

「静かにしないと、皆様子を見に来ちゃうよ?」

私は慌てて、口を閉じた。

自室に下がっている弟妹達がぞろぞろやって来たとして、この状況を上手に説明できる自信がない。

「もっと離れて…!!」

覆いかぶさってくる鈴木くんを押し戻そうとすればするほど、身体をくるんだブランケットに邪魔をされる。

「眼鏡がないから良く見えないなあ」

「嘘つき…!!」

「嘘じゃないよ」

鈴木くんはしてやったりと、満足そうに微笑んだ。

……こういう笑い方をする時は、絶対に良くないことを考えているに決まっている。

その証拠に鈴木くんはスカートから覗く脚に手を滑らせていた。

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