MIRROR-ЯOЯЯIM
「ねぇ、やめてってば…。」
「ガルル…。」
「聞こえてないの…?」
「グゥガルゥ…。」
「お願いだから…。」
「グルルルゥ…。」
「何とか言ってよ…。」
「ゴルガルゥ…。」

いつの間にか、都樹との距離はあと五十センチほどになっていた。

「都樹…本当に、暴走してるの…?」

そんなもの、さっきからの都樹を見れば一目瞭然だった。だけど、信じたくなかった。

「ねぇ、違うんだよね? 本当は暴走なんてしてないんだよね? そうだよね? そうな…。」

私の言葉を遮り、都樹はその爪で音もなく私の体を切り裂いた。体の両サイドから、じわじわと痛みが体の中心へと侵略してくる。

「…。」
「グルゥ…。」

都樹はまた腕を振り上げた。

「いい加減にしてよ!」

私が叫ぶと、都樹の腕が止まった。

「何でそうやって傷つけるの!? 何で怪我させるの!? こんなの、都樹じゃないよ! 私の知ってる都樹でいてよ! 私がベランダに誘ったのが悪いのかもしれないから、もしそうだったら謝るから! お願いだからもうやめてよ!」

しかし、都樹にはこれすらも聞こえていないようだった。だから…。

私は、都樹を思いっきり抱きしめた。
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