ストーンメルテッド ~すべての真実~
残り……04:21分
 太陽の日差しが強く当たり、カサカサに乾ききった土の上。そこに、目を細めて微かな風に白い毛をなびかせていたのは他ならぬ犬神だった。体が熱くなったのを感じると、大きくあくびをした。愛らしい顔にしてギャップを感じる、狼のような鋭い牙が全て顕になった。
 そして、寝返りをしようとした時である。微かだった風は、一瞬、強風となりイヴは片方の目を閉じた。
 もう片方の目の先に、いつもと違う真剣な表情を浮かべ、足を浮かせたような足取りで駆け走る男がいた。
イヴは、この男がカゲンだと直ぐにみとめると、寝返りをすることを辞めて立ち上がった。


 彼は、論なく、辺りの景色が薄汚く汚れている中を突っ走っていた。夢中に突っ走っていると、足が浮いたような感覚に襲われる。
 ジュノが最後にいた、アラハバキの鉄の家へ向かう。何があったのか、彼女は話さなかった。
 辺りは、他国からわざわざやって来た物作りの神や、修復の神の手により、工事が進んでいる様子だろうが、その姿に目を呉れる程の余裕は全くなかった。
 忙しなく働く彼らの声は、様々な声が入り混じり全く聞き取ることが出来ない。
かなりの量の神がいるのか、結構な仕事の量に追われているのか。

 足を止めず突き進めば、先ほどの、騒々しい声は全く届かなくなっていた。
 目の先を見れば、厄介な鉄の塊で出来上がった廃墟が佇んでいる。直ぐに駆けて行き足を止めると、クレイジーな奴が作り上げたこの家を見た。
 そして、一つ、気が付いた。
 これ程の頑丈な鉄で家を作ったのには、変人ならではの頭脳で、考えがあったのだろう。絶対にどんなことが起ころうと、この鉄の家は壊すことが出来ない。
 この、アラハバキの考えは、風変わりだ。平和なアムール国で、ここまで頑丈な家に住んでいたのは、アラハバキだけだろうから。
どうやら奴は、余程の臆病者らしい。

 しかし、ジュノをここへ連れてきた者は、驚く程に勘が鋭いのか、それとも、わざわざ、このように頑丈に出来上がった廃墟を場所に選ぶとなると、闇の精霊達の封印を解いた犯人である可能性は大いに有りそうだ。

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