フウセンカズラ
重い足取りで学校へ行く。
靴箱にはななの靴。
顔をバシッと両手でたたいて
気合いをいれる。

「え…いまの痛くないの?」
振り返ると章くん。
「今日遅かったんだね
君と話すの楽しみにしてたんだけどな…!」

すっかり忘れてた……。
最悪。

「ごめんなさい」
申し訳ない気持ちがあふれだし
涙がでそうになったから下を向く。

「そんなあやまらなくていいよ!
気が向いたら話しかけて?
俺毎日早く行って待ってるから」

そっと彼の顔を見ると
あの優しい笑顔だった。
「うん」

それから私たちは
章くんが朝練に行くまでの間
他愛もない話をした。
電話番号やメアド。
ラインのIDも教えあった。
光が射し込む廊下は
ほんのり暖かくて
章くんの隣は居心地がよかった。
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