臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 健太と有馬は、飯島が何を言っているのか分からず、不思議そうな顔をした。

「なんだお前らも知らんのか? ……年代が違うんだろうな」

 飯島は一瞬悲しい顔をした後話を続けた。

「この間高田と白鳥には話したんだが、『だっちゅうの』は、ある巨乳タレントが胸を強調するためにやっていたポーズなんだ」

「きょ、巨乳……ですか? 真面目な話なんですよね」

 健太が訝しげな表情になった。

「俺は大真面目なんだよ。ただ、これから教えるのは俺流にアレンジしたヤツだからな。早速『だっちゅうの』のポーズを始めるぞ! お前ら下に腕を伸ばしてみろ」

 飯島の指示に従い、四人の一年生は下に腕を伸ばす。

「四人共、腕を体の前に出して伸ばせ。……銭湯や温泉に行って服を脱いだ時、大事な所を隠す感じだ」

 四人のポーズを見た飯島は、新たに指示を出す。

「よーし、拳を握って両腕を内側に捻ろ! 両手の人差し指の付け根が触れるまで捻るんだぞ。……有馬、今肩関節はどうなってる?」

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