臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
【……ずいぶん先の話だよな】

【だって康平と健太にも都合があるしね。……それに、こういうのって色々準備が必要じゃない?】

【準備?】


 康平が訊くと亜樹はクスリと笑った。

【私の誕生日プレゼントの為に、誰かさん達が水筒持参で節約したでしょ?】

【あぁ、アレね】

【無理しないでって言ったんだけどなぁ。……でも本当は嬉しかったんだ】

【……亜樹は三人のプレゼントを用意するんだよね? それこそ大変なんじゃないか?】

【私だったら大丈夫だよ。ちょっとアテがあるしね】

【アテ?】

【……気にしないで。それより健太にも伝えて欲しいんだけど、いいかな?】

【健太にも訊いてみるよ。じゃあな】


 康平はそう言って受話器を下ろした。

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