コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
「……ちょっとごめん」



足早にハウスを出ていく那央。

もしかしてまた呼び出し?

せっかくデートを満喫してたのに、帰らなきゃいけなくなったら切ないな……。



「やっぱり大変そうだね、警察官は」



那央の背中を見送りながら呟く先輩に、あたしは苦笑してみせる。



「そうですねぇ。今日こうやって出掛けてるのも、何週間ぶりかなって感じだし」

「寂しいですよね? それなのに、よく頑張ってますよ。ほんと尊敬する」



娘のあーちゃんにいちごを食べさせながら、奈々ちゃんが言った。


たぶん遠恋を経験していなかったら、あたしはこのすれ違いが多い生活に耐えられなかったかもしれない。

高校時代は離れることが不安で散々悩んだけど、今では遠恋は必要なことだったと思える。


まぁ、もちろん今も寂しくないと言ったら嘘になるけれど。



「でも縁先輩も子供が出来たら、きっともっと心強くなると思いますよ」



あたしを見上げて微笑む“母親”の顔をした奈々ちゃんに、一瞬ドキリとさせられた。

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