コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
でも、来週は私達の最初の結婚記念日。

この日は那央が非番だから、朝勤務を終えて帰ってきたら家にいてくれる。

私も休みだし、ごちそうを用意していっぱいお祝いをしよう。

そして愛を確かめ合って、この寂しさを埋めてもらいたい──。



そんなことを密かに考えながら迎えた記念日当日。

午前10時頃、那央が勤務を終えて帰ってきた。



「おかえり!」

「ただいま」



玄関まで出迎えたあたしに、疲れた顔で笑う那央。

いつものようにあたしの頭をぽんと撫でると、彼はそのまま寝室の方へ向かう。



「わりぃ……ちょっと寝てもいい? 昨日ほとんど仮眠取れなくてさ」

「あ、うん、もちろん……!」



申し訳なさそうな苦笑を浮かべて、那央はすぐに寝室の中へ入ってしまった。

パタンとドアが無情に閉められ、空気が抜けた風船みたいに気持ちが萎んでいく。


夜勤明けなんだから、寝るのはもちろん構わないよ。構わないけど……

記念日なんだし、何か一言くらいあっても良くない?

< 29 / 82 >

この作品をシェア

pagetop