35歳の恋愛議事録

南口の改札  
歩いてくる君
花屋の横で僕は  
つぼみを見つけた


出会えたことが  
偶然だとしても
手をとりあった時間は
確かなものであるように


Ah- 
君がきれいな花となるように
大事にそっと  
抱いたはずなのに
トキを刻む砂時計は  
歩むことをやめた
朝が来るまででいい


星が浮かぶ夜空に  
不機嫌なキリ雲
踏切りの先にはもう  
君の姿なくて  
指でなぞる窓辺の写真から  
目を背けられずにいる
どうしてだよ  
どこに行くの?


Ah- 
追いかけても追いかけても
手に届かない  
はかなく散ってゆく
君を守ることが僕の  
生きてくカタチと思ってた

一番近くで見ていたい  
大人になる一つ一つを
失ったモノは大きすぎて  
僕の胸にはしまえない
< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop