Kiss of a shock ~涙と~
「おはよ、陣内」


陣内は声の方に顔を上げて、あら、と呟いた。


「おはようございます、健二さん。」


「うん、俺も珈琲」


同じく下着姿の健二は鍛えた肉体を露に、ソファーに腰を下ろした。


「はい。」


そう答えて、いつも使っているカップに珈琲を注ぐ。


スイッチひとつでカーテンを開けて、彼の前に珈琲カップを置いた。


「よく眠れましたか?」


健二はカップを手に持つと、苦笑して言った。


「いや、・・・けど懐かしい夢を見たよ。」


「懐かしい?」


「うん・・・陣内も気になってるんだろ?」


「え・・・?」


「どうして、昨日万理香ちゃんをあんなにあっさりと譲ったのか、あいつが・・・誰で、俺にとって何者なのか・・・。」


陣内は息を呑んで、「いえ」と小さく呟いた。


「服を・・・健二さんも何か着ないと、風邪をひきますよ。」


健二はくすくすと笑い、その後をついてきた。
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