紅色に染まる秘密の恋(休筆中)

すると

『…あっ、城咲さん。
別に私は口外しませんから。
雅也さんも口かたいから心配しなくて
いいですよ。』

黙ってしまった私に

さくらさんは手を左右に振ると

『…あの課長さんは厳しそうだけど
優しい面もあると思いますし
雅也さんも私も
城咲さんの恋が実るように
応援してますから頑張って下さいね!!
…じゃあお疲れ様でした。』

そう言って私に背を向けて

エントランスも出ると

河瀬さんが待つ車の方へと

駆け出していった。


車の音が聞こえなくなっても

その場で立ち尽くす私だったけど

急にボッと顔が紅くなり

胸がドキドキしてきた。


初対面のさくらさんに勘付かれるほど

私ってそんなにわかりやすいのかな。


武内課長の顔が思い浮かんだ。

あの時の掴まれた肘にまだ何だか

感触が残ってる。


でもね…さくらさん…。

私の恋は絶対実る事なんて…。


そう思いながら顔を上げた瞬間

エントランスの壁時計が視界に入った。


…あっ、いけない!!

時間を見て慌てて気がついた私は

急いでエレベーターに乗り込むと

目的の階のボタンを押した。
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